スーパーファミコンやゲームボーイのソフト(カセット)といえば、経年劣化で黄ばんでしまうのが悩みのタネ。
以前、ワイドハイターPRO(粉末酸素系漂白剤)を溶かしたぬるま湯につけるだけの、「つけ置き漂白実験」をしました。
結果、ワントーン明るくはなるけれど、そこまできれいになったという実感はありませんでした。
そこで、今回はその応用編として、太陽光(紫外線)を利用したレトロブライトにチャレンジしてみようと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
実践!レトロゲームの黄ばみを取るレトロブライトのやり方

レトロブライトは、黄ばんだ古いゲームソフトの外装を漂白液につけ、紫外線に当てて元の色に近づける方法です。
特に、ワイドハイターPRO(粉末)を使う方法が、安価で効果も高い(多分)のでおすすめ。
酸素系漂白剤を使用すると、なぜSFC・GBソフトの黄ばみが落ちるのかについては、前回の記事で詳しく紹介しています。
ここでは、レトロブライトの詳しいやり方を解説します。
用意するもの
- ワイドハイターPRO(粉末)…小さじ1.5(約7.5g)
- ぬるま湯 300mL(40℃前後)
- 小さめのハケ
- ゴム(ビニール)手袋・保護めがね(推奨)
- 中性洗剤+やわらかい歯ブラシ(事前洗浄用)
- マイクロファイバークロス(仕上げ拭き)
- 精密ドライバー(外装を外すため)
- マスキングテープ(ラベル保護用)
- ジップロック(漂白液を作る用)
前回、ラベル剥がれ防止にマスキングテープを貼ったのですが、見事に失敗したので、今回は漂白液をハケで塗っています。
レトロブライト(黄ばみ落とし)の手順
1. 外装を分解・洗浄

特殊ドライバーでカセットを分解し、外装と基盤に分けます。
(なんでいつも裏側だけ黄ばむんですかね〜)
基板は水に弱いため、うっかり濡らさないように隔離します。
外装は、アルカリ電解水とマイクロファイバークロス(汚れがひどい場合は中性洗剤+歯ブラシ)で、油膜や埃を落としておきましょう。

今回はハケで漂白液を塗ります。
ラベルに付着して傷まないように、事前にマスキングテープで覆って保護しております。*
※後に、失敗します。
2. 漂白液を作る

作業中は漂白剤が手につくと手荒れの原因になるため、ゴム(ビニール)手袋を着用しましょう。
ジップロックにぬるま湯200mLを入れ、ワイドハイターPRO 約5g(小さじ5杯)を溶かします。
ハケで塗る際は多くの量は不要ですが、少なすぎると効果が出ず、多すぎると外装を傷める恐れがあります。
そのため、わかりやすい容量を設定しています。
粉末が溶け残ると漂白効果にムラが出ることもあるので、よく揉んで振ってしっかりと混ぜます。
また、漂白効果は時間とともに薄れていくため、漂白液の作り置きや繰り返しの使用はできないそうです。
3. 外装に漂白液を塗布する

ソフト外装の漂白したい部分に漂白液をハケで均一に塗り、あとは太陽光(紫外線)に当てます。
レトロブライトの化学的原理は、「漂白液」と「紫外線」の力が合わさることで、黄ばんだ色素を分解し、本来の白い状態に戻すというものです。
残念ながら、最近の窓ガラスは紫外線をカットしてしまうため、窓越しに置いていてもほとんど効果が出ません。
必ず直射日光に当たる屋外に置いてください。
屋外に置けない場合は、室内でUVライトを使うのもおすすめです。
側面にも均一に紫外線が当たりそう。
長時間晒すと劇的に白さが戻る可能性は高いですが、リスク(白ボケ・脆化)も高いので注意してください。
ちなみに、日差しが強い時間に2時間放置しただけで、ここまで白くなりました。

4. 仕上げ
漂白が終わったら、ソフトを組み立て直す前に流水でしっかりすすぎ、クロスで水気を拭き取ります。
乾燥が不十分なまま組み立てると、基盤が錆びたりショートしたりして、ソフトが壊れる原因になるため、半日〜1日自然乾燥させましょう。
実験結果

今回は、最高気温30℃前後の比較的日差しが強い日の朝10時頃から実験を開始。
2時間で一度状態を確認して、ハケで漂白液を塗り直しました。
さらに2時間経過してみて見ると、黄ばみの状態に変化がないにも関わらず、外装が白ぼけし始めている気がして、これ以上は危険かも…と取り込みました。
前回の「つけ置きだけ」の実験だと6時間つけこんでも大きな変化を感じませんでしたが、ハケ塗りレトロブライトなら2時間ほどで明らかに白さを取り戻したことになります。

完全に元通りというわけではありませんが、前面の外装の色味に少し近づきました。
これなら、「きれい」になったと表現してもいいのではないでしょうか…!
心配していた外装表面のざらつきや白ボケ、粉吹き、乾燥も、多少質感は変わった気がしますが、そこまで気になりません。
やはり、漂白剤につけるという時点で外装には負担がかかるので、完璧は求めず、ほどほどのところでやめるのが良さそうです。
で、問題のラベル剥がれですが、マステを貼らずにラベルに漂白液がつかないように慎重に塗る!
そして極力ラベルに水がかからないようにすすぐ!
…しか方法はないのではと思えてきました。
今後も良い方法がないか考え続けます…。
注意した方がいいことのおさらい
レトロブライトをする際は、外装表面の質感が変わる恐れがあるため、2時間おきなど短時間で状態を確認し、できるだけ早く切り上げるようにしてください。
また、黄ばみの原因によっては、どれだけ時間をかけても黄ばみを取り切れないこともあります(取り切る前に素材がダメになりそう…)。
特に製造年が古いソフトは、黄ばみの成分が奥深くまで染み込んでいることがあり、完全に落としきれないことも。
そして酸素系漂白剤(ワイドハイターPRO等)は塩素系よりも穏やかとされますが、完全にリスクがないわけではありません。
公式に推奨されているものでもありませんので、あくまで実験として、失敗も含めて楽しむ気持ちで挑戦してみてください。
大切なソフトを漂白する際は、まずジャンク品(動かないソフト)で試してみることを強くおすすめします。
(失敗したら、ジャンク品の比較的きれいな外装と、失敗した外装を交換してしまいましょう。笑)
黄ばみ再発を防ぐ保管方法
せっかく黄ばみを薄くしても、保管環境が悪いと再び黄ばみます。
特にプラスチックは紫外線や湿気に弱いため、次のような対策がおすすめです。
直射日光を避ける
窓際や蛍光灯の下は紫外線の影響を受けやすく、再黄ばみの原因になります。
暗所か、カーテン・UVカットシートのある部屋で保管すると安心です。
高温多湿を避ける
押し入れや床下収納などは湿気がこもりやすく、プラスチックの劣化やカビの原因になります。
風通しのよい場所に置くか、除湿剤を併用すると効果的です。
私は無印良品の「くり返し使える除湿剤」を使用しています。
クリアケースや防湿庫を使う
専用のクリアケースに入れておくと、ホコリから守れます。
さらに本格的に管理したいなら、防湿庫を使うのも一案です。
湿度を一定に保てるので、黄ばみ防止だけでなく基板やラベルの劣化防止にも役立ちます。
私も、プレミアソフト用に欲しい…。
レトロゲームのレトロブライト、普通に楽しい
レトロブライトは、一見すると少し難しそうに感じるかもしれませんが、「ワイドハイターPRO(粉末)」と「紫外線」と少しの道具で、大切なゲームソフトをきれいにすることができます。
新品のような白さに戻すのは難しいものの、棚に並べたときの見た目がスッキリするだけでも気分が違いますね。
ただし、酸素系漂白剤はあくまで「比較的リスクが少ない」とされる方法であって、つけすぎれば白ボケや表面荒れを起こす可能性があります。
また、ソフトの状態や環境によって、成功することもあれば、あまり変わらないことも、思わぬ失敗をすることも正直あります。
あくまで自己責任のチャレンジとして、試してみてください。
そして、せっかく黄ばみを薄くしても、直射日光や湿気の多い環境に置けば再び変色してしまいます。
適切な保管方法で、少しでも長くきれいな状態を保てるように頑張りましょう!

レトロブライトできれいになったソフトで早速遊ぼう!


のコピー-4-1-120x68.png)