こんにちは、ズボラゲーマーの のたり と申します。
スーパーファミコン(SFC)用ソフト『学校であった怖い話』ゲームプレイ日記の第十五回目です。
前回は、荒井昭二(三話目『飛び降り自殺の人体実験』)と新堂誠(四話目『ボクシング部の地獄の合宿』)のあらすじと感想をまとめました。
今回は、福沢玲子(五話目『濡れ衣?』)と岩下明美(六話目『幸せの石・ルーベライズの判断』)、そして七人目?『白髪鬼・白井の秘密の研究:肉の塊』のざっくりあらすじと感想をまとめます。
※容赦なくネタバレします。NGな方はここでブラウザバックしてください。
なお、プレイにはスクショ撮影・セーブがしやすい【レトロフリーク】を使用しております。
各話あらすじと感想
ここからは、以下のエピソードのあらすじと感想まとめです。
ネタバレOKな方のみお進みください。
【五人目】福沢玲子『濡れ衣?』

選択肢
3 → 1 → 2
あらすじ
一年G組の福沢麗子は、かつて女子水泳部に所属していた七歳上の姉から、ある出来事を聞かされていた。
姉の時代、水泳部には「水が喜ぶ」と評判の天才スイマー・瀬戸裕子がいた。
魚のようにしなやかな泳ぎで、誰もが彼女の才能を疑わなかった。
しかし練習中、突然の心臓麻痺で瀬戸は亡くなる。
水に選ばれたはずの少女が水に命を奪われた。
その死は、部員たちに深い衝撃を残した。
やがて放課後のプールでは、誰もいないはずなのに水音が響き、静かな水面から白い手が伸びる怪異が噂されるようになる。
瀬戸が助けを求めているのだと信じた水泳部の部員たちは、夜のプールに忍び込み、順番にその手を掴もうと試みた。
しかし手は誰が触れようとしても水中に消える。
ところが、瀬戸に次ぐ実力者・林が手を伸ばした瞬間だけ、手は引っ込まなかった。
林は悲鳴をあげる。
水面に揺れていたのは瀬戸ではなく、彼女自身そっくりの半透明の少女だった。
まるで「林の生き霊」が、次の獲物を探しているかのように。
その後、林は校内の記録を塗り替え続け、他の選手は「何かに足を引かれるように」結果を出せなくなる。
部内では「瀬戸を殺したのは林の嫉妬では」と噂が分かれ、林は陰湿ないじめを受けたという。
溺れる手は助けを求めていたのか。あるいは次の犠牲者を求めていたのか……。
真相は誰にもわからない。
水泳部の怪談でありながら、元凶が「霊」なのか「嫉妬」なのか、最後まで曖昧なまま進行して揺さぶられるエピソードでした。

語り手・福沢玲子が、姉から聞いた“伝説の先輩”瀬戸の死を語り、そこから無人のプールに現れる“手”の怪異へとつながる本エピソード。
「夜の学校」で、「水面から差しだされる手」のイメージはそれだけで不気味なのですが、秀逸なのは、途中で“瀬戸の霊”から“現役エース・林の生き霊”へと視点がひっくり返るところ。
「(林は)救う側ではなく、(自分より優れた相手を)引きずり込む存在だったのでは?」という疑念が生まれ、怪異が霊ではなく“人間の嫉妬”に宿る恐怖へと転じます。

そして霊になった瀬戸が、林(生者)に濡れ衣を着せていじめの標的になるよう仕向けたのかもしれない、というまさかの展開に…こんなに頭働かせる霊、今まで見たことがありません(笑)。

「女の嫉妬が一番怖い」で片付けるには惜しいほど、意表を突く展開がいい。
じっくり読んでも10分程度の短い話なのに、なんとも言えない後味が残るエピソードでした。
【六人目】岩下明美『幸せの石・ルーベライズの判断』

選択肢
1 → 2 → 1 → 2 → 1 → 1 → 1 → 1
あらすじ
クラスメイトの大川百合子はパワーストーンに心酔し、究極の幸運石「ルーベライズ」を手に入れれば人生が好転すると信じ込む。
やがて彼女は、25年前の先輩・岡崎幸恵がその石を所有し、死後は墓に納められたという噂を掴む。
岡崎は財閥の令嬢で、学校に寄贈されたグランドピアノより旧校舎の古いオルガンを愛した才女であった。
ある日、オルガンの蓋が突然落下し、両手の人差し指を失う事故が起きる。
留学と演奏家の道は断たれたが、彼女は静かな指導者としての将来を夢見始める。
ところが、父の意向でオルガンが処分されたことを知り、失意のまま校外で交通事故死。
胸元には琥珀色のルーベライズがあり、そのまま墓へ納められた。
大川は夜更けに岡崎の墓を掘り、ペンダントを奪取。
「最高の幸せを」と祈った直後、恍惚に包まれてその場で急死する。
岩下は、ルーベライズは願いを叶える一方で等価の不幸を呼ぶのではないかと解釈する。
岡崎の「留学しない」という願いは指と命で支払われ、大川の「最高の幸せ」は“早逝による最短解”として実現した、というわけだ。

ざっくり言うと、パワーストーンにすがった少女が破滅していくエピソードでした。
願いを叶える力を持つとされる石「ルーベライズ」は、幸運の象徴でありながら、人の欲に寄り添って“等価の不幸”を差し出す存在として描かれます。
中心となるのは、石に幸福を求め、ついには先輩の墓を荒らす少女の話。
努力ではなく他力本願な“奇跡”を求めた結果、手に入れたはずの幸福が命と引き換えになるという皮肉。


構造としては、短編ホラー小説の『猿の手』に近い印象です。
私もどちらかといえば他力本願な奇跡に期待してしまうタイプですが(笑)、最近は「幸せになりたい」という願望の「幸せ」とは何かをよく考えます。
お金や名声が欲しいと考えることもありますが、実際それを得るために生きたいかと言われると、そうでもなくて。
むしろ今の状態を「幸せ」と感じている自分がいたりします(岩下先輩的には「妥協」らしいですが…)。
この状態でルーベライズに「幸せになりたい」と適当に願ったら、“今の幸せを壊さないため”に即人生終了させられそうで怖いですね(笑)。

そして今回も岩下節が冴えており、「私だったら、幸せは自分の手でつかむわ。他人を殺してでも、手に入れる。運命は、自分で切り開くの……。」という力強い一言が刺さりました。
単なるホラーに終わらず、人間の欲と業について考えさせられる回でした。
【七人目?】白髪鬼・白井の秘密の研究:肉の塊

選択肢
5(おしるこ) → 1 → 1 → 1 → 2 → 2 → 3 → 1 → 1 → 1
あらすじ
7人目が現れずお開きになりかけた時、日野先輩が差し入れを手に現れる。
珍しいミニボトル飲料を皆で飲んだ後、日野は理科の白井教諭が出入りする“立入禁止の倉庫”の噂を語る。
彼は一週間前、相棒の岩山と合鍵で侵入し、腐卵臭漂う暗闇で赤ん坊の泣き声と、薄桃色に発光するゼリー状の“何か”を目撃。
日野は「今夜もう一度確かめよう」と皆を倉庫へ誘う。
侵入直後、強烈な臭気で意識を失った「僕」は、目覚めると縛られており、日野と白井が並ぶ前で赤子の泣き声に包まれる。
日野は正体を明かす。
自分は前回捕らえられ“生まれ変わり”の最中、皆に配った飲み物には感覚を鈍らせる薬を混ぜた(ただし主人公の“おしるこ”だけ外れ)。
水槽の液は白井が創った高知能の細菌を満たす“バイオ液”で、人を肉塊へと同化させ、やがて自我を失わせる。
片隅では岩山や岩下が肉塊となり、赤子の声で啼く。
しかし暴走した肉塊が白井と日野をも絡め取り、溶けるように排水口へ流出。
残された「僕」は依然として拘束されたまま、空になった水槽と積まれた手足を前に、“学校であった怖い話”の記事にするべきかを静かに考える。

このエピソードは、“科学実験”と“ボディホラー”を混ぜたような、実録怪談めいた話でした。
主人公が信頼していた日野先輩に化学室の研究室に誘われ、気がつけば意識は朦朧、体は動かず、鼻を刺す腐った卵のような匂い……。

その先で目にする“赤ちゃんの声”の正体には、背筋が冷えました。
差し入れの飲み物(冷やしおしるこw)が伏線として効いており(ED分岐アイテムだった!)、「ほんの軽いノリの部活の先輩・後輩のやり取り」が、一気に“逃げられない密室ホラー”へ落ちていく落差が怖いです。
しかも、怪異ではなく“科学っぽい説明”がつくぶん、かえって逃げ道がない感じ。

最終的に何も解決せず、加害者も巻き込まれる形で話が終わるので救いがなく、苦手な人は苦手かも(結構グロいです)。
おそらく本作の中でも“最恐”クラスの話だと思うのですが、個人的には力づくで怖がらせてくるタイプは好みではなく、乗り損ねてしまいました。
(じっくり読むと30分かかる長尺で、途中少しダレたのも事実)
クリーチャー系が好きな人には刺さるエピソードかもしれません。
嫉妬・欲望・狂気とバリエーション豊かな三本立てでした
今回プレイした三本も、いずれも「怪異より人間が怖い」を軸にしつつ、まったく違う角度で恐怖を描いていたのが印象的でした。
『濡れ衣?』は、生きている人間の嫉妬が引き起こした怪異と見せかけて、霊が人間に“濡れ衣を着せたのかも”と言う可能性を残す語りが斬新でした。
『幸せの石・ルーベライズの判断』は、「幸せってなんだろうな」と言うことをしみじみ感じさせられました。
あと、岩下先輩相変わらずかっこいい(笑)。
『白髪鬼・白井の秘密の研究:肉の塊』は、怪異ではなく科学風味で追い詰められるタイプの密室ホラーで、物語として一番の圧でした。
次回からはようやく6周目。
岩下明美の一話目と細田友晴の二話目のあらすじ&解説をまとめます。
なお、この記事ではネタバレ満載ですが、実際に自分でプレイするとSFCならではの音や映像演出によって、また違った怖さや余韻を味わえるはずです。
まだ『学校であった怖い話』SFC版を遊んだことがない方は、ぜひご自身でも体験してみてください!

PS版(完全版)も魅力的ですが、SFC版ならではのザラついた映像やレトロなBGMには、平成ならではの独特な空気感が漂っていて格別です。
現行機しかお持ちでないという方には、本作のプロデューサーでありシナリオも手がけた飯島多紀哉さんの近作、『アパシー 鳴神学園七不思議+危険な転校生』が遊びやすくておすすめです。
他にも、SwitchやSteamでプレイできる『送り犬』という作品もあります。
皆様もぜひチェックしてみてくださいね!
↓『学校であった怖い話』ゲームプレイ日記の他記事はこちらにまとめています!↓

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