レトロゲームソフトはいまや新品で手に入れるのが難しく、中古ショップやフリマサイト、オークションでの入手がほとんどですよね。
たまにきれいに掃除されたソフトに出会うこともありますが、正直それはレアケース。
そして汚れたままのソフトをそのまま収納してしまうと、思わぬ事態を招くことも…。
今回は、カートリッジ(カセット)ソフトのクリーニングの必要性と、私も実際に行っているクリーニング手順を解説します。
レトロゲームソフトのクリーニングが必要な理由

カートリッジタイプのソフトには、経年による黄ばみや謎の汚れはもちろん、落書き、シール跡などが残っていることも。
そして、厄介なのがカビと虫です。
カビは放置すると他のソフトや周辺機器にまで広がることも…。
虫に関しては、私自身、レトロゲームくじで届いたソフト(ジャンク品扱いではなかった)からカツオブシムシの抜け殻が出てきたことがあり、心底ゾッとしました(端子に蜘蛛の巣が張られていたこともありましたね…)。
レトロゲームの多くは「ジャンク品じゃなくても汚いもの」と思っておいた方がいいです。
ソフトを入手したらまず状態をチェックして、クリーニングをしてから保管するのが吉です。
少し面倒に感じるかもしれませんが、大切なゲームを長く遊ぶため、そして文化を守るためにも欠かせない作業だと思います。
カセットタイプのレトロゲームソフトのクリーニング手順

今回はSFC、GBシリーズ、N64のカセットソフトを対象に、外装を徹底的にきれいにするクリーニング手順を紹介します。
特殊ドライバーを使って分解するので、内側までしっかり清掃できます(分解すれば偽物かどうかの確認もできますね!)。
なお、FCやMDなどのカセットも表面は同じ方法でクリーニングできますが、内側の清掃には「殻割り」や「ラベル剥がし」のテクニックが必要になります。
用意する道具
SFC・GBシリーズ・N64のカセットをクリーニングするのに必要な道具を見ていきましょう。
- アルカリ電解水
- ティッシュ
- 中性洗剤(食器用)
- マイクロファイバークロス
- 歯ブラシ(やわらかめ)
- メラミンスポンジ
- ゴム手袋(肌が弱い人)
- シールはがし液
- 特殊ネジ用ドライバー
- 無水エタノール
- ベビー綿棒
- レトロゲーム復活剤(接点復活剤)
なぜこれらの道具を使用するのかについては、手順と一緒に解説します。
クリーニングの基本手順

それでは、中古で買ったちょっと汚め(笑)のソフト達を、いつも自分が行っている手順でクリーニングしていきます!
ビニール手袋を手にはめる(好み)
これは好みですが、私は適宜ビニール手袋を着用します。理由は二つ。
一つは、長年放置されたソフトはホコリや皮脂、カビ汚れが付着しており、そのまま触ると手が真っ黒になるからです。
もう一つは、分解後に基板へ素手で触れるのを防ぐため。
人間の手の皮脂や汗は錆や劣化の原因になるため、直接触らない方が安心です。
特におすすめなのは、使い捨ての薄手ビニール手袋。終わったら汚れごと捨てられます。
ですが細かい作業はしにくくなるので、苦手な方は無しでいいと思います。
アルカリ電解水で軽く表面の汚れを落とす

レトロゲームカセットのクリーニングでは、いきなり強い洗剤を使うより、まず「アルカリ電解水」で表面を拭く“予備洗い”*から始めるのがおすすめです。
アルカリ電解水は水を電気分解して作られたクリーナーで、界面活性剤などの添加物を一切含みません。
そのため プラスチックを傷めにくく、ラベル周りや端子の近くでも安心して使える のが特徴です。
使用方法
- ティッシュや柔らかい布にアルカリ電解水を軽く吹き付ける
- ソフト全体をやさしく拭き取る(ゴシゴシはNG)
- 汚れがひどい場合は、ティッシュが茶色くなることもある
- 拭き終えたら乾いた布で軽く仕上げ拭きをする
アルカリ電解水は、ホコリや手垢、ヤニ汚れを安全に落とせるのが魅力です。
除菌・消臭効果もあり、古いソフト特有のカビ臭さ対策にも便利。
予備洗いとして使えば、その後の細かいクリーニングもスムーズになります。
ただし、液を直接スプレーするのはNG。
内部に入り込むと故障の原因になるため、必ず布やティッシュに吹き付けて使いましょう。
ラベル部分は濡らしすぎに注意。なお、しつこい油汚れや黄ばみは落とせません。
特殊ドライバーで分解する

レトロゲームソフトを分解するには、通常のプラスドライバーではなく、専用の特殊ドライバーが必要です。
カセットのネジは市販の工具では開けられない形状になっているため、必ず対応サイズを用意しましょう。
- スーパーファミコン、ゲームボーイ、メガドライブ、ゲームギアなど → 内径3.8mmの星形(セキュリティビット)タイプ
- ゲームボーイアドバンス → 2.5mmのY字タイプ
以下のドライバーは付け替え可能なので、これ一つで様々なソフトに対応可能です。
分解は専用ドライバーさえあれば難しくありません。SFCもN64もGBAも基本的に一緒です。

基本はネジを外すだけですが、ゲームボーイのソフトだけは裏面のネジを外したあと、端子側へスライドさせて開ける特殊な構造になっているため、無理にこじ開けないよう注意が必要です。


外したネジは非常に小さいので小皿などにまとめて保管すると安心。
基板を戻すとき、向きを間違えないか不安な方はスマホで写真を撮っておくと確実です。
中性洗剤を薄めてマイクロファイバークロスで拭く

レトロゲームのカセットは、長年の使用や保管環境によって皮脂やホコリ、タバコのヤニなどの汚れが蓄積しています。
こうした「しつこい汚れ」には、水で薄めた中性洗剤+マイクロファイバークロスの組み合わせが効果的です。
色々な洗剤がありますが、中性洗剤は洗浄力が強すぎず、プラスチックを傷めにくいのでおすすめです(私はキュキュットを使用)。
マイクロファイバークロスは繊維が細かく、表面にやさしく密着して汚れを絡め取れます。
手順
- 小さなボトルに水を入れ、中性洗剤をワンプッシュ程度混ぜる
(多めに作ると劣化するため、その日の分だけでOK) - クロスに薄めた洗剤水を含ませる
※ソフトに直接かけるのは厳禁!ラベルが傷みます - 外装(表裏)を優しく拭き取る。特に手が触れる部分は黒ずみやすい
- クロスのきれいな部分に水を少量含ませ、仕上げにすすぎ拭きする
- 乾いた面で乾拭きし、水分を完全に取り除く
私は100均の適当なボトルに、中性洗剤(キュキュット)を1プッシュして、水を足しています。
あと、ソフト裏面の四隅やネジ周りが、思った以上に黒ずみが溜まっていることも。

ネジ自体にもサビや汚れが付着しているので、分解した際はここも綿棒で軽く掃除するとみちがえますよ!
深い傷や細かい溝に入り込んだ汚れは歯ブラシで落とす
レトロゲームソフトの外装は、長年の使用や保管環境によって細かい傷や溝に汚れが入り込み、布で拭いただけではなかなか落ちません。
こうした場合に便利なのが 歯ブラシ&爪楊枝 です。
特におすすめなのは、子ども用のやわらかめの歯ブラシ。
毛先が細かく柔らかいため、プラスチックを傷つけずに溝の汚れを掻き出すことができます。
硬めのブラシだと新たな傷を付ける恐れがあるので避けましょう。

使い方は、薄めた中性洗剤をブラシに少量つけ、傷や溝に沿って優しく擦るだけ。

最後に、作業後は洗剤成分が残らないよう軽く水拭きし、必ず乾いた布で仕上げてください。
水分が残ると劣化やカビの原因になるので注意が必要です。
落書きはメラミンスポンジで擦り落とす

カセットに書かれた油性マーカーの落書きは、中性洗剤や歯ブラシではほとんど落ちません。そこで役立つのが メラミンスポンジ です。
適当な大きさにちぎって、水で濡らして、擦って使います。
落書きだけでなく、ファミコンカセットによく見られる ざらざらした質感の外装の汚れ落としにも有効です。

細かい凹凸に入り込んだ汚れを効率よく取り除けるため、見た目がぐっときれいになります。
しかし、メラミンスポンジは細かい研磨材のような性質を持っており、汚れそのものを削り落としていることになります。
そのため、強く擦りすぎるとプラスチック表面の光沢が失われて白っぽくなったり、不自然な擦り跡が残ったりすることがあります。
特にラベル部分には絶対に使わないよう注意してください!

油性ペンは時間が経つほどプラスチックに染み込んで落ちにくくなります。
完全に消すのは難しいため、「ある程度薄くできればOK」くらいの気持ちで軽めに使用する のが安全です。
補助的な方法として、アルコールやシールはがし液を綿棒に少量付けて軽く拭くと薄くなる場合もあります。
ただしこちらもプラスチックを傷める可能性があるため、必ず目立たない部分で試してからにしましょう。
シールはシールはがし液で剥がす

レトロゲームのカセットに貼られたシールは、そのまま無理に剥がすと跡や傷が残りやすいもの。そんなときに便利なのが「シールはがし液」です。
手順
- 綿棒で液をシールの上に塗る
- 1分ほど置いたあと、付属のヘラでゆっくり剥がす
- 粘着剤が残ったら、液をつけた布や綿棒で拭き取る
- 取れにくい場合は同じ手順を繰り返す

ソフトの外装に貼られたシールはこの手順で簡単に剥がせるのですが、ラベルに貼られたシールはとにかく慎重に。
液をつけすぎてラベル自体を傷めたり、ヘラで傷を付けたりする恐れがあるため、少しずつ液をつけて試すようにしましょう。
それでも頑張ればきれいに剥がせますので、レトロゲームのカセットにありがちな“値札シール”もこれでバッチリですね!
無水エタノールと接点復活剤で端子を磨く

ここが最後の仕上げです!
レトロゲームがゲームが読み込まない原因の多くは、カセットの端子部分の汚れや酸化です。

まずは綿棒に無水エタノールを染み込ませ、端子をやさしく拭いて汚れを取り除きます。
これで大抵の接触不良は改善します。

さらに効果を高めたい場合は、レトロゲーム復活剤(接点復活剤)を少量使うのも有効。
金属表面の酸化膜を取り除き、導通を回復させてくれます。
ただし使いすぎるとベタつきやホコリの付着につながるので、最後に乾いた布や綿棒で軽く拭き取って仕上げましょう。
詳しくは以下の記事で解説していますので参考にしてください!
無水エタノールと接点復活剤を使用しても起動しない場合は、最終手段としてコンパウンドを使用する方法もあります。
クリーニングしたレトロゲームソフトは愛着湧きまくり!
買ってはみたものの、なんだか汚くてテンション上がらない…というレトロゲームのカセットも、ちょっと手をかけるだけで驚くほどきれいになります。
今回ご紹介した方法でクリーニングすれば、愛着も湧いてプレイがより一層楽しくなるはず。
掃除というより“ゲームとの対話”のような楽しい作業です。
ぜひこの記事を参考に、ご自身のコレクションもピカピカに蘇らせてみてください!
実機でプレイするのも良いですが、手軽に遊べる互換機もおすすめです!
私が実際に所有しているレトロゲーム互換機のレビュー記事もありますので、ぜひチェックしてください!



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