こんにちは!映画の見方を勉強中のあんまきです。
今回紹介する1冊は、『仕事と人生に効く教養としての映画』です。
関西大学、同志社大学などで映画論の講義を担当されている、映画研究者・伊藤弘了さんが映画の見方について解説されている書籍です。
映画を娯楽で終わらせるのはもったいない!
では、映画を仕事や人生に活かすにはどうすればいいのでしょうか?
実は、映画を分析して情報を整理し、人に伝えるという行為は「ビジネスの基本」そのものです。
映画を見るということは実は難しくて、学ばなければ見方がわからなくて当然なんです。
でも、映画を楽しみながら自分も成長できれば一石二鳥ですよね♪
より深く映画を味わい尽くすための見方について解説している本書。その魅力を紹介していきたいと思います!
映画を見るメリットとは?
映画通の人って、なんだか洗練されていてオシャレに感じませんか?
それもそのはず、映画制作には必ず一流の美術スタッフがついていて、作品の世界観を演出するために最適な飾り付けを施し、完璧な舞台を作り上げているのです。
そんな映像を見続けていれば、美的感覚が自然と磨かれない方がおかしいと著者は言います。
この話から私が連想したのは、テレビドラマ脚本家でありエッセイスト、小説家の向田邦子さんです。
向田さんはシナリオ作家になる前の二十代に雄鶏社に入社し、「映画ストーリー」編集部で映画雑誌編集者をされていました。
そんな向田さんはとびきりオシャレで、そのライフスタイルやファッションの魅力を紹介する書籍が現在も数多く出版されています。
美的感覚は、美しいものを見続けることで養われていくんですね。
また、著者は「感性の磨き方」についてもこのように説明しています。
映画を通して感情の起伏を積み重ねていくと、自分の感情の振れ幅がわかるようになります。
自分はどういう状況に喜びを見出したり、怒りを覚えたり、悲しみを感じたりするのか。
つまりは、自分はどういう人間なのかを知ることにつながります。自らの感情の動きを知り、内省を深めてそれをコントロールできるようになること。
第1講 Chapter 1 映画を見たらどんないいことがあるか より
このようにして磨かれていくのが「感性」と呼ばれるものの核心ではないかと私は考えています。
映画鑑賞って実はマインドフルネスだったの!?
これだけのメリットがあるのなら、漫然と映像を眺めているだけなんてもったいないですよね。積極的に映画から学ぶ姿勢が大切なのだとしみじみ感じました。
Q:何から見るべきか? → A:古典
結局、映画って何から見るべきなの?という問いに対して、著者は村上春樹の『ノルウェイの森』の登場人物のセリフを引用し、このように紹介しています。
村上春樹のベストセラー小説『ノルウェイの森』の登場人物に永沢という古典文学の愛読者がいます。
第3講 Chapter 3 日本の古典映画はなぜ世界で評価されるのか
彼は「時の洗礼を受けていないものを読んで貴重な時間を無駄に費やしたくない」という理由で、「死後三十年を経ていない作家の本」は原則として手に取らないようにしています。
要するに、新作映画と古典的名作では打率が違うということです。
映画の見方や楽しみ方は人それぞれであり、効率を求めれば良いというものではないということは本書でも述べられています。
ですが、時の洗礼を受けてなお現代でも多くの人に愛されている作品を選べば、ハズレを引く可能性が低いという理屈はお分かりいただけるでしょうか。
また、現代の作品でも古典の名作シーンをオマージュしている作品がたくさんあります。つまり、古典を知ればそれらのオマージュをより楽しめるようになるのです。
『スター・ウォーズエピソード4/新たなる希望』が、黒澤明の『隠し砦の三悪人』に似ていると気づけたら楽しいですよね!
本書では海外の古典作品についても言及されていますが、著者である伊藤弘了さんが小津安二郎監督の研究をされていることもあり、日本の古典作品が多く紹介されています。
作品例の一部(敬称略)
- 黒澤明 『七人の侍』『羅生門』『隠し砦の三悪人』
- 小津安二郎 『東京物語』『秋刀魚の味』『お早よう』
- 溝口健二 『雨月物語』『西鶴一代女』『山椒大夫』
それぞれの作品の見どころや著者の解釈を踏まえ、現代の作品への系譜まで解説されていて映画史を学ぶ上でも参考になります。
特に、小津安二郎の映画技法の解説は本当に目から鱗が落ちます。ここだけでも皆さんに読んでいただきたいくらいです!
見せ方のテクニックが学べるので、創作活動をされている方にもおすすめです!
映画を見たあとのアウトプット法
映画を見たらそれで終わりではなく、アウトプットするところまで映画鑑賞です。
映画を見たあとのアウトプットには「次に見るべき作品がわかる」「作品鑑賞の質が向上する」といったメリットがあります。
具体的に、どのようにアウトプットすれば良いのでしょうか?
答えはカンタン、SNSに投稿したりブログで発信するだけで構わないのです。
むしろ、SNSは映画配信元や関係者も利用しているので、あなたの投稿が目にとまれば思わぬ人脈が築けたり、仕事がもらえるといったことだってあり得ます。
いきなりアウトプットなんてできないよ〜!
という方に向けて、本書では効果的なアウトプットができるようになるためのステップが紹介されています。
- まずは映画鑑賞記録をつけることを習慣化する
→鑑賞した日付、映画のタイトル、監督名、主要なスタッフや出演俳優、上映時間、初公開年などを、ノートやアプリに記録する。 - スタッフの名前を覚える
監督、脚本家、カメラマン、美術、音楽などのスタッフまで意識することで、映画鑑賞の幅が広がる。 - 映画の感想(コメント)を書く
映画の具体的な細部に意識を向けて、自分の伝えたいことを明確にする。
誰かに想いを伝えるためには、編集力とプレゼンテーション力が必要になります。これは仕事にも言えることですね。
よいプレゼンテーションの特徴についてはこのように述べられています。
① わかりやすいストーリーを組み立てる。
② 表現はできるだけシンプルに。
③ 強い言葉は「ここぞ」というときにだけ使う。
最終稿 あなたの感想が世界を変える
参考文献として、スティーブ・ジョブズのプレゼン技法を解説した書籍『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』が紹介されています。
映画の感想やコメントを投稿するだけとはいえ、継続すればボキャブラリーや知識が蓄積されてあなたの表現能力は格段にアップすることでしょう。
【まとめ】『仕事と人生に効く教養としての映画』伊藤弘了
『仕事と人生に効く教養としての映画』はいかがでしたでしょうか?
映画の見方は、観客の自由です。こう見なければいけないというルールはありません。
ですが、著者がおっしゃられる「書くこと」「よりよく見ること」は、「よりよく生きる」ことと地続きであるという説に、わたしも大賛成です。
知識を増やし、分析力を高めて、アウトプットを目的として映画を見れば、楽しみが増えるどころか人生の充実度が格段にアップすることでしょう。
私もこれからは映画ブログ書きます!皆さんのアウトプットを見るのも楽しみです♪
著者のアツい映画への愛が詰まっていて、映画の楽しみ方と奥深さを再確認させてくれる1冊でした!
本書は上記以外にも
など、映画に関する読み物としても大充実の内容です。
どんな映画を見ればいいのかわからない。感性を磨いて仕事に活かしたい。映画をもっと楽しめるようになりたい!
そんなあなたはぜひ本書を読んで、新しい映画の見方を身につけてみてくださいね!
余談ですが、古典映画を動画配信サービスで見たい場合はU-NEXTがおすすめです。
1ヶ月の利用料は他の動画配信サービスに比べて少し高いですが、古典作品の配信数が圧倒的に多く質も良いので満足度も高いです。
U-NEXTには31日間の無料トライアルがありますので、古典映画を見るときはぜひ試してみてくださいね!